江東区の医院併設住宅


■Text

地元に根付いた医院は代替わりを機会に、住宅を併設した医院に建替えることになった。敷地は南北に接道しており、北側はそのまま医院の入口とし、住居の入口は反対の南側の道路からとした。周辺は今後、中高層の建物が増えていくことも想像ができるため、外周部は壁で囲み視線をさけた。壁の内側に中庭を設け間接的に採光や通風を確保することとした。中庭は間取り的には邪魔となり無駄な廊下を作りかねないため、△三角にすることで間取りに馴染ませ、効率的に自然光を獲得している。構造は鉄筋コンクリート壁構造。将来的に再び代替わりすることや、新たな診療体制を取り入れられることを考慮して医院内の壁はほぼ撤去可能な軽鉄にてつくられている。

医院のアプローチ横に躯体と一体でつくられたベンチは、待合の居場所の一つとして、または散歩中の高齢者が一休みしたり、雨宿りしたりできるように設置した。2020年現在では、新型コロナウィルス対策として風邪症状、発熱患者はこのベンチで待機、診察を行っている。今後の医院建築にとって外の待機スペースは一般的になっていくのかもしれない。


■Data

東京都江東区

医院、個人住宅

鉄筋コンクリート造3階建て

延床面積489.82㎡

2018年10月竣工

撮影:藤井浩司/Nacasa&Partners


■Press

建築知識 エクスナレッジ 2020年12月号 掲載



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