パティオ梅が丘 E /パティオ梅が丘 W
■Text
敷地は住宅街の路地の突き当りにある。事業的・法的条件より敷地を分割し、木造3階建の共同住宅を2棟に分けて建てた。それぞれの敷地内通路を一体にし、共有しあうことでパティオ(中庭)をつくっている。
約20㎡の住戸が各棟13戸、緑豊かなパティオを囲むように配置した。一般的に住戸面積が20㎡前後の狭い共同住宅は、広さと豊かさが比例するかの如く、豊かさがないがしろに計画されている。敷地に無理に多くの住戸を納めることで住戸と近隣の窓に見合いが生じ、良好な関係が築きづらい。ここでは分割した敷地の2棟を一体的に計画することで改善を試みた。パティオに向かって囲むように住戸を配置させることで近隣へのストレスを低減、パティオも2棟分の広さが確保できることで向きあう住戸の離隔も確保できた。
法的条件の解決のためバルコニーを設け、建物を雁行させている。結果的にどちらも向かい合う住戸どうしの見合いを低減させている。さらにバルコニーや雁行させた建物は外観に陰影を与え、堅牢で彫りの深い豊かな街並みのような表情を創りだしている。外壁の色は日干し煉瓦のような地面の土を連想させる。屋外階段、バルコニーの壁天井まで連続していて、豊かな屋外空間がひだ状に建物に入り込む様子が室内外から視覚的に感じられる。
■Data
東京都世田谷区
E棟:敷地面積179.50㎡
共同住宅8戸,長屋5戸
地上木造3階建
延床面積298.35㎡
W棟:敷地面積178.20㎡
共同住宅8戸,長屋5戸
地上木造3階建
延床面積295.975㎡
2019年5月竣工
撮影:小出薫
グッドデザイン賞2019 受賞
■Press
magazine
LiVES 2019AUG.&SEP vol.106 p109 掲載
web
architecturephoto.net 掲載
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