神木本町の家
■Text
段差のある2つの敷地にまたがって神木本町の家は計画された。施主は30年前に購入した建売住宅に住み、途中隣地を買い足し二つの住まいを使い分けて生活していた。今後のことも考え「終の棲家」として建替えという選択肢を選ばれた。敷地は道路から2~3mの擁壁の上。道路を挟んだ向かいには大木が植わる公園があり、庭の緑と公園の緑とが重なり室内からは前面道路の存在を消している。さらに敷地の段差を室内外で生かしながら公園の植わる様々な木々を楽しめる計画としている。2つの敷地にまたがっているため外観が長くなる。周辺の住宅街のリズムを壊さないように中庭により分節を設けて前面道路にあわせて屋根の高さにも変化をつけて景観の調和を図っている。ご夫婦ともに料理が趣味で、住まいの中心にキッチンとダイニングが配置されている。ダイニングは公園の桜が正面になるように配されている。この計画において「風水」は多くの決定要素となっている。配置平面計画はもちろん、地中からの気を止めてしまうベタ基礎としないなどの構造計画、排水ルートなどの設備計画、引越日時にも及ぶ。風水学鑑定士にも相談する機会もあった。施主を守り、施主が愛せる家となるには「風水」は必要な与条件だった。
■Data
川崎市宮前区
木造2階建
延床面積240.46㎡
2009年12月竣工
撮影:中川敦玲
■Press
magazine
建築知識 エクスナレッジ 2014年1月号 掲載
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