見学

先週かつて勤めていた(既に10年以上前になるが・・・)
鹿島の設計施工の加賀レジデンスの竣工見学会に行って来た。
設計者の北さんは鹿島のトップアーキテクトの一人で、かつて同じグループの上司である。
虎ノ門タワーズも彼の設計である。ディテール新建築001 特集:集合住宅でも建築家8人のうちの1人にとり上げられている。


▽表側

加賀レジデンスは14階建であるにもかかわらず、壁構造(正確には壁式免震構造)。
柱梁がないため、外観、内観とも美しい。
戸境と手摺の納まりがスマート。
左手にみえる雁行プランではバルコニーの奥行が2mを超え面積が算入されてしまう部分がある。面積の緩和が受けられないことはディベロッパーからみれば非効率的だが、その分使い勝手や、空間の広がりが専有部の豊かさにつながっている。

▽裏側

マンションは通常専有面積を確保することが最優先される。
専有部を邪魔する屋外階段やEVなどは外廊下でつながり裏側にでてくる。
意匠上、余計な物が取付き裏側がより裏側らしくなっていく。
ここは階段室型であるため、外廊下がない。屋外階段、EVはボリュームの内部にある。(光ってる部分が階段。)
平面上2住戸ごとにEV,階段があり非効率的ではあるが、そのおかげで各住戸の独立性が高くなるとともに住環境が格段に上がる。
裏側も表のように開口が設けられている。(一般的な外廊下に申し訳なさそうに付く窓ではなく)設備類を開口部周りに納め、バルコニーにも廊下にもエアコン室外機が露出することも無い。
外観が整理されるだけではなく、通風、採光とも裏とはいえない良い環境が内部空間においても実現されている。
このプランは集合住宅に携わる設計者なら誰もが一度は挑戦するプランだと思う。
別に新しいプランではない。
ただコスト、面積などに阻まれ実現に結びつけるのがとにかく難しいのである。

▽ロビー

メインのエントランスロビーとは別のサブのロビーが外部空間になっている。
居住者専用のスペース、季節を感じることが出来る豊かな空間である。

▽機械式駐車場

上階からみても屋上緑化され、周囲もルーバーで囲われ異物感がなく不愉快ではない。
その形状はシンプルなボリュームの本体部分とバランスが取れている。
通常斜線や日影を考えると手前側が高くなるように思えるのだが、手前のボリュームがおさえられているため、1階渡り廊下からの見え方も低く抑えられ好感的であった。夜には照明によるライトアップまでされている。

全体として贅沢な作りではあるが、仕上材などでは一般的なレベルでまとめられている。
エントランスなどの共用部などの表層の化粧にお金をかけて目を引こうとする物件とは違う。
建築家の集合住宅の提案の多くは賃貸が多く(弊社設計Y flatもしかり)
一生住む空間として、建築家のある意味「特殊な提案」にはディベロッパーも購入者も慎重になってしまうのも理解できる。
特殊な提案でなく、誰もが理解できる空間の贅沢さを実現できている
集合住宅の設計の楽しさを感じることが出来る物件でした。



週末には国営昭和記念公園内にある花みどり文化センターを見学。
アトリエワンと伊東豊雄の共同設計。
展示会、講習会などの催し物が出来る施設。屋上が本格的に緑化されている。


アトリエワンの単独の設計と勘違いしていて
あまりに伊東豊雄設計の出雲の大社プレイスと空間、構造など似ていてびっくりしていたのだが、共同設計とのことで納得。
▽花みどり

▽大社プレイス


▽屋上
本気で緑化。屋上とは思えない。手前の屋上と奥の公園の緑が重なって
境がわかりにくいくらい一体化している。


昭和記念公園の入口にあるですが、結局ここでのんびりし過ぎて
公園内には入らず帰りました。